【第7回】メディカル ジャパン in 幕張メッセ

投稿者: | 2024年10月10日

医療DXは誰のためのものか、医療DXと日本の未来から考える地域医療のこれから

 幕張メッセで開催された第7回 メディカル ジャパン 東京(医療・介護・薬局 Week 東京)のセミナー会場③にて、医療DXと日本の未来と題したセミナーが開かれた。会場には、医療・介護の現場に携わる人々が数多く集まり、これからの日本の医療をどう支えていくかという問いを共有する時間となった。


■ 開催概要
– 日時:2024年10月10日(木)14:30〜16:00
– 会場:第7回 メディカル ジャパン 東京(幕張メッセ)
– テーマ:医療DXと日本の未来
– 登壇者:
  – 柳川 貴雄 氏(ドクターズ株式会社 代表取締役社長 兼 CEO/脳神経外科専門医/公益財団法人 柳川育英財団 理事長/一般社団法人 IoMT学会 評議員)
  – 豊田 真由子 氏(医療法人・社会福祉法人顧問/元厚生労働省官僚/元衆議院議員/元外交官)

セミナーでは、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)を単なるIT化として捉えるのではなく、「これからの日本の医療を、どう持続可能なものにしていくか」という、より大きな視点から議論が交わされた。


医療DXは、避けて通れない時代
 日本では、高齢化の進展に伴い、医療・介護ニーズの増加と人材不足が同時に進んでいる。病院だけで地域を支えることは年々難しくなり、在宅医療・介護・薬局・行政との連携が不可欠となっている。そのなかで期待されているのが、医療DXである。
 オンライン診療、電子カルテ情報の共有、AIによる診療支援、遠隔モニタリング、地域医療連携システム――これらは、もはや単なる効率化の手段ではない。限られた人材で、地域医療を維持していくための基盤になりつつある。

DXの目的は「人を減らすこと」ではない
 一方で、DXそのものが目的化してしまう危うさも、たびたび指摘される。本来、医療DXは、医療従事者の負担を軽減し、患者にとっての利便性を高めるためのものである。高齢の方やデジタル機器に不慣れな人々が取り残されるような形であれば、それは本来の医療のあり方とは言えないだろう。

大切なのは、
> 「テクノロジーで人を置き換える」のではなく、
> 「テクノロジーによって、人と人とのつながりを支える」
という視点ではないだろうか。

地域包括ケアと医療DX
 これからの地域医療では、病院を中心としながらも、診療所・薬局・介護事業所・行政・地域住民が、一つのネットワークとして機能することが求められる。DXは、その地域の見えないインフラとなる可能性を秘めている。たとえば、

– 退院後の在宅療養情報の共有
– 多職種間のリアルタイムな連携
– フレイル予防活動のデータ活用
– 地域全体での健康課題の把握
など、地域包括ケアシステムを“実際に動かす”ためのツールとして、大きな期待が寄せられている。

おわりに ― 技術の先にいる「人」へ
 医療DXとは、単なるデジタル化ではない。誰もが、住み慣れた地域で、その人らしく生き続けることを支えるための手段である。超高齢社会の日本において、病院だけでなく、地域全体で支え合う仕組みづくりが求められている今、医療DXはその重要な鍵となるだろう。
 しかし、最も大切なのは、技術そのものではなく、その先にいる「人」である。医療と介護、そして住民を結ぶ。私たちが大切にしてきた “リエゾン(Liaison/つなぐ)”の視点を忘れずに、これからの医療DXの未来を考えていきたい。

 このセミナーの視点は、私たちが取り組む フレイル予防はまちづく という考え方や、小金井地域における在宅診療・回復期リハビリ・地域連携の構想とも、深く響き合うものであった。医療DXを「技術の話」としてではなく、「地域包括ケアを実装するための手段」として読み解いていくこと――それがこれからの私たちの課題なのだと、あらためて感じている。


(渡部)豊田真由子先生から、辻哲夫先生にまつわるお話を伺うことができたことも大変光栄でした。超高齢社会における地域包括ケアや治し、支える医療の考え方を牽引されてきた辻先生の理念は、フレイル予防や地域共生社会の実現を目指す私たちの活動にも通じるものがあります。