■死と密接な関係にある二人が「死」を語る。
よく生き、よく死ぬために。
3000の死体を観察してきた解剖学者と
400人以上を看取ってきた訪問診療医。
死と向き合ってきた二人が、いま、遺したい「死」の講義。
・死のガイドラインは必要か
・在宅死は理想の死か
・終末期の医療の難しさ
・「死」をタブー視する現代
・死亡率100%だから安心できる
・自分は死なないと思っている
・手術と解剖、技術をどう磨くか
・終戦をいつ迎えたかで生き方が変わる
・東大に女子学生が少ない理由
・人が育つ大家族のススメ
・「命を終えるための医療」は認められない?
・長生きの秘訣
・人間の歴史は病との共存
・死を怖れず、死にあこがれず
(本書より)
「どこで死にたい」と予め考えていても、自分は変わります。
こういう風にすればいいという人はいますが、
教科書通りにいくはずがない。
誰も自分の死体を見ることはできません。
だから何も心配することはないんです。(養老孟司)
外科医のときは患者をどうやって生かそうかと考えていました。
今は、患者をどうやって死なせようかと考えるのが仕事です。
「その人らしい死に方とは何か」「あるべき終わりがあるのではないか」
と考えるようになったんです。(小堀鷗一郎)
(本書より)
■著者について
◆ 養老孟司(ようろう・たけし)
1937年、神奈川県鎌倉市生まれ。解剖学者。
1962年、東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。
1995年、東京大学医学部教授を退官し、現在、東京大学名誉教授。
『バカの壁』(新潮新書)は440万部を超えるベストセラーに。
大の虫好きとして知られ、昆虫採集・標本作成を続けている。
著書に『唯脳論』(ちくま学芸文庫)、『死の壁』『遺言。』(共に新潮新書)、
『半分生きて、半分死んでいる』(PHP新書)など多数。
◆小堀鷗一郎(こぼり・おういちろう)
1938年、東京都生まれ。東京大学医学部医学科卒業。
東京大学医学部付属病院第一外科、国立国際医療センター(現国立国際医療研究センター)に
外科医として勤務した後、埼玉県新座市の堀ノ内病院に赴任。
訪問診療医として400人以上の看取りに関わる。
著書に『死を生きた人びと 訪問診療医と355人の患者』(みすず書房)。
訪問診療の活動を追ったドキュメンタリー映画『人生をしまう時間』が
2019年公開され、話題になる。祖父は森鷗外。
(目次)
はじめに 養老孟司
第一章 「死ぬ」とはどういうことですか?
・在宅死が当たり前ではなくなった
・死んだら人間ではなくなるのか?
・自分の「死」について考えますか?
・インタビュー 養老孟司
第二章 解剖学者と外科医はどんな仕事ですか?
・解剖学者、外科医としてやってきたこと
・臨床医にならなかった理由
・インタビュー 小堀鷗一郎
第三章 「東大医学部」ってどんなところでしたか?
・二人が同じ「東大医学部」を目指した理由とは?
・教授選……出世競争は大変でしたか?
第四章 これからの日本はどうなりますか?
・自殺、終末期医療……死をめぐるさまざまな問題
・「老い」とはどういうことですか?
・医者の仕事って何だろう?
おわりに 小堀鷗一郎