権利擁護から人生100年、そして地域共生へ

投稿者: | 2026年9月17日

一日を通して考えた、これからの老後と地域のかたち

 最近、成年後見制度や意思決定支援、老後の備えに関わる話を伺う機会がとても増えています。今回の一日も午前・午後・夜とテーマはそれぞれ異なりながら振り返ってみるとすべてがその人が最後まで自分らしく生きるために、地域や制度はどう支えるのかという一本の線でつながっているように感じました。


午前――曽根直樹先生とのご縁から、新しい連携へ

 午前は、ご縁をいただき障害者虐待防止・権利擁護の分野で長年活動され、日本障害者虐待防止学会日本社会事業大学などで要職を歴任されてきた曽根直樹先生の研究室を訪問し、じっくりお話しする機会をいただきました。曽根先生とは以前参加した日本障害者虐待防止学会の「つながりセミナーin滋賀」でもご一緒したご縁があります。

 今回は私たちが取り組んでいる健康生き甲斐リエゾン協議会の活動やリエゾンカフェ東京都カーリンコン協会の活動についてもお話しさせていただきました。そして今後、イベントやカーリンコンなどの活動にもお力をお借りしながら、一緒に何か取り組んでいけそうなお話に発展しました。さらに、日本障害者虐待防止学会の次回新潟での開催予定の集まりでも活動について少しお話しし、PRさせていただける機会をいただけそうです。

 それだけでもありがたいのですが、曽根先生が地域のラジオで福祉関係の番組にも携わっているとのことで、なんとゲストとしてお声掛けいただきました。思いがけない展開に驚きながらも人と人とのつながりがまた次の活動につながっていくことを改めて実感しました。一人でできることには限りがあります。しかし、それぞれの専門性や経験を持つ人たちがつながれば、できることは一気に広がります。まさに「リエゾン=つなぐ」という言葉そのものです。


午後――「人生100年時代」をどう生ききるか

 午後は東京大学本郷キャンパスへ。東京大学高齢社会総合研究機構が主催する、ALPシンポジウム第3回「人生100年時代、あなたはどう生ききりますか?」に参加しました。ALP(Advance Life Planning:アドバンス・ライフ・プランニング)とは、将来の人生を本人自身が能動的に考えて住まい・資産・介護などについて元気なうちから継続的に備えて意思決定していくプロセスです。

 これまで「老後の備え」というとお金や介護施設の話に偏りがちでした。しかし本来は、どこで暮らしたいのか。誰とつながっていたいのか。財産をどう管理するのか。判断する力が低下したとき、誰に何を託したいのか。そして、最後までどんな人生を送りたいのか。そこまで含めて考えておく必要があります。

 最近、私自身も成年後見制度や死後事務、意思決定支援などについて考えたり相談を受けたりする機会が増えています。成年後見も本来は単に財産を管理するためだけの制度ではありません。本人の意思をどう尊重してその人らしい暮らしをどう支えていくのか。ALPの考え方と成年後見・権利擁護には重なる部分が非常に多いと感じました。

 「何かが起きてから考える」のではなく、元気な50代60代あるいはもっと早い段階から自分のこれからを考えておく。人生100年時代にはこうした考え方がますます重要になっていくと思います。


夜――制度だけではつくれない「地域共生社会」

 そして夜は、日本記者クラブで開催された第136回月例社会保障研究会へ。今回のテーマは「地域共生社会における制度サービスと住民の福祉活動――市町村社会福祉協議会の歩み」で、講師は日本福祉大学客員教授で元全国社会福祉協議会常務理事の渋谷篤男先生でした。

 介護保険や障害福祉、生活困窮者支援、成年後見など現在はさまざまな制度があります。もちろん制度は重要です。しかし制度だけですべての生活課題を解決できるわけではありません。ちょっとした見守り、話し相手、外出するきっかけ、地域の居場所、趣味やスポーツを通じた仲間づくり。こうした制度になる一歩手前の支えが実は地域で暮らし続けるうえで非常に大きな意味を持っています。

 カーリンコンリエゾンカフェも医療や介護そのものではありません。しかし外に出るきっかけになり、人と話し、笑い、役割を持ち、生きがいを感じる。そこからフレイル予防や孤立防止そして必要な支援とのつながりが生まれる可能性があると思います。


「老後」を、制度だけで考えない

 午前は権利擁護。午後は人生100年時代の備え。夜は地域共生と住民福祉活動。一見すると別々のテーマですが私にはすべてがつながって見えました。成年後見制度だけがあってもその人の生活は支えきれません。医療や介護だけでも足りません。お金だけでもありません。権利を守る仕組み、本人の意思、住まい、健康、生きがい、そして地域とのつながり。これらをできるだけ切り離さずに考えていくことがこれからの老後には必要なのだと思います。

 私たちが取り組んでいるフレイル予防やリエゾンカフェ、カーリンコンもその大きな流れの中に位置づけていきたいと思っています。そして何より今回も改めて感じたのは人の縁のありがたさです。滋賀で一緒になったご縁が研究室での対話につながり、そこから新潟、ラジオ、そして新しい活動へと広がっていく。いろいろな方と「何か一緒にできそうだ」と話せる時間は本当に充実しています。

 これからも分野の壁を越えて人と人をつなぎながら、健康と生きがい、権利擁護、そして安心して老後を迎えられる地域づくりを考え、皆様と少しずつ形にしていきたいと思います。