【第9回年次大会@10/18】みんなのケア情報学会 in ザザシティ浜松中央館

投稿者: | 2026年10月18日

〇テーマ:パーソナルAI:ディープなケアとコミュニティの再生
〇開催日:2026年10月18日(日)
10:00-17:20 講演/インタラクティブセッション/ラップアップ・ セッション
  17:30-19:30 懇親会(FUSE内)
〇会場:静岡県 浜松市 FUSE
Co-startup Space & Community FUSE
静岡県浜松市中央区鍛冶町100-1 ザザシティ浜松中央館 B1F

大会長:橋田浩一 (札幌市立大学 )
実行委員長:石川翔吾(静岡大学)
実行委員会:(所属)
 橋田浩一(札幌市立大学)
 石川翔吾(静岡大学)
 竹林洋一(みんなのケア情報学会)  松浦博(みんなのケア情報学会)
 小川敬之(京都橘大学)       鈴木善博(静岡大学、アレグロ・マイクロシステムズ)
 青野桂子(青野桂子事務所)     松川泰子(佛教大学)
 我妻朋美(佛教大学)        島尾青空(㈱共愉の学び、静岡大学) 


学会メッセージ

 日本社会は、人口減少とAI革命という大きな変化の中にあります。担い手不足が進むケアの現場では質をどう保つかが問われ、生成AIは働き方も学び方も、ケアのあり方そのものも変えようとしています。
 私たちは、この変化を「みんなで考える問い」として受けとめています。テクノロジーが進む社会で、真のケアとは何か。その答えは専門家だけが出せるものではなく、認知症などの本人、家族、ケア専門職、地域住民、研究者が対話するなかから生まれます。AIは人間理解を深めるメディアですが、一部に独占されれば孤立や分断も招きます。大切なのは、AIを「みんなの道具」として使いこなす知恵を、現場から育てることです。
 当学会は「市民情報学(Citizen Informatics)」の理念のもと、立場を超えて「ごちゃまぜ」で学ぶ学会です。多様な人の認知症やフレイルなどがある状態を「個性の一部」としてとらえ、AI、XR、ナラティブ(語り)を結ぶ研究と実践を、当事者とともに重ねてきました。人口が減ってもケアの密度は高められ、AIが進化しても人間の尊厳は守られます。


プログラムおよび講演等の概要

・10:00-10:50 対談セッション:パーソナルAIとは?
  橋田浩一(札幌市立大学),聞き手:石川翔吾(静岡大学)
 パーソナルAI (PAI: 各個人に専属するAIエージェント)は、利用者のデータ主権を守りながらパーソナルデータをフル活用し、利用者と対話してそのニーズを満たすサービスを仲介する。さまざまな知識(ナレッジ)をネットワーク構造で表わすナレッジグラフによりRules as Code (RaC: 法令等の執行を最大限に自動化すること)とPAIを普及させる方法、それによるAIの分散的なガバナンス、地域のプラットフォーム機能のPAIによる高度化と、それに基づく地域の持続的発展の可能性について論ずる。

・11:00-11:50 講演1:アスリートのパーソナルAI
  浮世 満理子(心理カウンセラー)
 2018年から五輪代表などのメンタルトレーニングを行ってきましたが、この8年でAIが目覚しく進化し、パーソナルAIの可能性が見えてきました。スポーツの勝敗を左右する実践的なメンタルケアにPAIを活用する可能性をトップアスリートと共に語ります。

・12:00-12:30 インタラクティブセッション(ショートスピーチ)
  座長:青野桂子(青野桂子事務所) 
・12:30-14:00 ランチ・ポスター交流(※軽食をご用意しますので、ご参加お願いします)

・14:00-14:45 講演2:メンタルヘルスのリカバリー
 ~その原理と、”AI時代”における「セルフケアのデザイン」~  
  増川 ねてる(フリーランス・WRAP®ファシリテーター)
 メンタルへルスの”リカバリー”は、「健康や充実感」「生活の主導権」「ポテンシャルを発揮するために頑張る力」等を取り戻すプロセスである。増川は当事者として、かつては”非現実的だ”と言われていたリカバリーを、先人達から受け継いできた知恵によって実現させてきた。再現性の高いリカバリーのツールや仕組みは存在している。しかし、その実践は個別性が高いため、なお普及が難しくなっていると考えられる。本セッションでは、リカバリーの考え方やプロセスを整理し、AI時代におけるテクノロジーを活用した新しいリカバリーの実践についての展望を述べる。

・14:55-15:55 講演3:つなぐ・支える・育てる
 〜地域課題への伴走支援の共通原理を探る〜

  鬼頭 史樹(ボーダレス) / 渡邉 迅人(浜松いわた信用金庫)
 ソーシャルワークはこれまで,医療・介護・福祉の領域を中心に,生活上のニーズや困難を抱える人々に寄り添い,多様な資源との接続や関係調整を通じて支援する実践として発展してきた.一方で,人々の暮らしは住まいや人間関係だけでなく,働く場や地域経済,産業基盤によっても支えられている.人口減少や人材不足が進む地域社会においては,生活課題と産業課題が密接に結びついており,地域住民のウェルビーイングを支えるためには,生活と産業を一体的に捉える視点が重要ではないだろうか.こうした状況の中で,地域のスタートアップ支援や中小企業支援に目を向けると,そこでは事業者や起業家の困りごとに伴走し,必要な人材・資源・組織とのマッチングを行いながら,事業の持続と成長を支援する実践が展開されている.これらは一見すると経済活動の支援であるが,その本質には,多様な主体をつなぎ,地域の課題解決能力を高め,コミュニティの持続可能性を支える働きが含まれているとも考えられる.
 本セッションでは「地域課題への伴走支援」を共通の視点として,福祉領域におけるソーシャルワーク実践を出発点に,その理念や方法論について共有する.続いて,スタートアップ支援や産業支援の現場から実践報告を行い,両者を比較しながら議論を深める.個人の生活課題への支援と地域産業の課題への支援は,どのような共通原理によって成り立っているのだろうか,本セッションを通じて,「つなぐ・支える・育てる」という観点から,コミュニティを支える実践の本質を捉え直し.ソーシャルワークの新たな可能性について参加者とともに探究する.

・16:05-17:20 ラップアップセッション:人口減少社会に“ふるさと感”を再生するー観光体験農業・パーソナルAI・インパクトで拓く松崎町モデル
 竹林 洋一(みんなのケア情報学会)/ 安藤 聖泰(NeoRealX)/ 高橋智志(インパクトサークル)/ 柳澤孝一(栄農人)
 「パーソナルAI:ディープなケアとコミュニティの再生」を、松崎町プロジェクトという具体的な社会実装に結びつける最終ラップアップです。タイトルは「人口減少社会に“ふるさと感”を再生する――観光体験農業・パーソナルAI・インパクトで拓く松崎町モデル」とします。栄農人の柳沢社長には、イチゴ・キノコを中心とする観光体験農業の実装可能性を、NeoRealXの安藤社長には、AI/XRによる地域体験の深化を、インパクトサークルの高橋社長には、関係人口・地域経済・学び・誇りを可視化するインパクト設計を語っていただきます。60分構成ですので、各登壇者の話題提供は8分以内に絞り、後半はクロストークで「観光体験農業を入口に、定住だけではないふるさと感をどう育てるか」を議論します。大会の締めとして、パーソナルAIを人間理解と地域理解のメディアとして位置づけ、松崎町から始まるケア・学び・産業の共創モデルを提示したいと考えています。


※渡部と竹林洋一理事長

(渡部)縁から広がる地域のつながりとフレイル予防を年次大会に参加し、懇親会でも多くの皆様と交流する貴重な機会をいただきました。先日のエクサウィザーズ主催「AI Innovators Forum 2026」の会場でも偶然お会いし、「浜松の懇親会でゆっくり話しましょう」とお声掛けいただいたことが今回の交流につながりました。懇親会では、さまざまなお話を伺うなかで私たちにもご縁の深い故・辻哲夫先生のお話も聞くことができました。
 さらに大会長を務められた札幌市立大学の橋田浩一先生をご紹介いただき、直接お話しする機会にも恵まれました。橋田先生には、医療経済研究・社会保険福祉協会の神谷哲朗先生(ご縁ある)が携わるフレイル予防の推進活動や、私たちが取り組んでいる地域での実践についてもお話しし、さまざまなご教示をいただきました。

 私たち健康リエゾンが特に大切にしているのは、地域住民による主体的な活動や交流・支え合いを中心とした「第3層」の取り組みです。専門職や制度による支援だけでなく地域の人々が自然につながり、楽しみや生きがいを持ちながら健康づくりに参加できる環境を広げていきたいと考えています。フレイル予防を入口として医療・介護・福祉と地域活動を結び、誰もが役割を持って参加できる地域づくりへ。

 今回の学会が掲げた「パーソナルAI:ディープなケアとコミュニティの再生」というテーマも私たちの活動と重なるものがあり多くの学びと刺激をいただきました。偶然の再会から新たな出会いへ。そして辻先生が大切にされてきた想いを地域での実践につなげていく。改めて人と人とのご縁の大切さを実感した一日となりました。

ご一緒いただいた皆様に心より感謝申し上げます。