【滋賀/和歌山/福井/大阪ツアー】堺市で出会う三つの物語 ―劇画・音楽・古墳 in 大阪

投稿者: | 2026年6月22日

第1話:1本の線から世界へ 、堺が育てた劇画家・さいとう・たかを

【展示】GOLGO13×SAKAI さいとう・たかを THE WORLD OF GEKIGA
「ゴルゴ13」で知られる劇画家・さいとう・たかを氏(1936–2021)を取り上げる企画展示です。氏が青年期を過ごした堺との関わりを軸に、自伝的漫画『1本の線』や恩師との出会い、プロフィールを紹介しています。展示の中核は「PRODUCTION SYSTEM(分業制への挑戦)」で、1960年に設立した「さいとう・プロダクション」が、脚本・主役作画・背景作画などを工程ごとに分業化し、映画制作のような組織的・量産的な作品づくりを早くから確立した点を解説。スタッフ名をエンドロールのようにクレジットする手法など、日本の劇画・漫画産業の仕組みを考えるうえで示唆に富む内容です。赤と黒を基調とした壁面ビジュアルが空間全体を引き締めています。


第2話:路上から始まったハーモニー 、堺東が見守ったコブクロの原点

【展示】THIS IS KOBUKURO’S HOMETOWN ―SAKAIHIGASHI―
 堺東の路上で出会い、デュオを結成した「コブクロ」(小渕健太郎・黒田俊介)の歩みをたどる「KOBUKURO’S JOURNEY」展です。堺の路上から始まった奇跡のハーモニー、全国デビューへの道のり、結成20周年とその先へ――といったテーマごとのバナーで構成され、ストリート時代から現在までを写真と年表で振り返ります。二人がギターを抱えて路上で歌う水彩タッチのイラストが象徴的で、「コブクロが出逢った街、堺東」というコピーが、地域とアーティストの結びつきを物語っています。窓外に広がる堺の街並みと一体となった、ふるさと顕彰の趣旨にふさわしい展示です。


第3話:足元に眠る1600年、ジオラマで一望する百舌鳥古墳群

【展示】展望ロビー中央に置かれた精緻な都市ジオラマは、ユネスコ世界文化遺産「百舌鳥・古市古墳群」(2019年登録)を構成する百舌鳥古墳群を一望できる貴重な展示です。パネルには、国内最大の前方後円墳である仁徳天皇陵古墳(大山古墳)を筆頭に、履中天皇陵古墳・反正天皇陵古墳・いたすけ古墳・御廟山古墳などが整理され、QRコードやアクセス情報とともに来訪を促す工夫がなされています。墳丘の鍵穴形(前方後円)の輪郭が緑として浮かび上がり、周囲に密集する現代の市街地との対比が、5世紀の巨大土木事業の規模を直感的に伝えています。
 このジオラマは、観光案内の機能を超えて、考古学・文化財行政・地域づくりが交差する場として、来訪者に足元に眠る歴史を意識させる優れた装置だと言えるでしょう。


(渡部)考古学の観点から重要なのは、これらの古墳の多くが宮内庁の管理する陵墓・陵墓参考地に指定されている点です。被葬者の比定をめぐっては学術的な議論が続いており、墳丘内部への発掘調査が原則として制限されているため、考古学者は外周部の調査や墳形・埴輪・葺石の分析、過去の記録の再検討を通じて研究を積み重ねてきました。天皇陵という伝承上の名称と、考古学的に確定し得る事実との間にある慎重な距離感は、日本の古墳研究を語るうえで欠かせない論点です。
 また、こうした遺産の保護は文化財保護法を基盤とし、埋蔵文化財の調査・保存には、自治体の文化財部局に加え、公益社団法人 日本文化財保護協会(実は…内閣府認定の考古検定を取得してたりします)をはじめとする専門機関が発掘調査や記録保存の実務を担っています。世界遺産登録は文化庁・文化審議会の審査を経て閣議了解のうえユネスコへ推薦される国家的な手続きであり、登録後は国・大阪府・堺市が連携して保存管理計画にあたっています。市街地のただ中に1600年前の墳墓が生き続けるという稀有な景観は、都市と遺産の共生という現代的な課題そのものでもあります。


滋賀①/滋賀②/和歌山/福井/大阪ツアー】